かつては「優良米国株」「高配当株」として人気だったナイキですが、現在は中国市場の低迷、競争激化、販売不振、ブランド再建の遅れなど、複数の問題を抱えています。
一方で、株価が大きく下がったことで配当利回りは上昇しており、長期投資を考える投資家から注目されやすい水準にもなっています。
この記事では、ナイキ株が下落している理由から、業績、配当、今後の将来性、そして「今は買い時なのか」をわかりやすく解説します。
ナイキ株はどれくらい下がっている?
まず、現在の株価を確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ティッカー | NKE |
| 上場市場 | NYSE |
| 52週高値 | 76.97ドル |
| 52週安値 | 35.76ドル |
| 2026年9月16日終値 | 35.78ドル |
2026年9月16日時点では、52週高値から半値以下まで下落しています。
さらに、2026年に入ってからも株価の下落が続いており、9月時点では年初から40%以上下落していると報じられています。
では、なぜここまでナイキ株は下がっているのでしょうか。
ナイキ株が下がっている5つの理由
① 中国市場が低迷している
現在のナイキにとって、特に大きな問題のひとつが中国市場の低迷です。
2026年5月期の通期決算では、Greater Chinaの売上高が前年比11%減、為替の影響を除くと13%減となりました。
さらに2026年5月期の中国地域のEBITは前年比20%減となっています。
ナイキにとって中国は重要な市場だっただけに、中国での販売不振は株価にとって大きなマイナス材料です。
特に中国では、ナイキだけでなく現地ブランドや他のスポーツブランドとの競争も激しくなっています。
② アディダスや新興ブランドとの競争が激しくなっている
ナイキは長年、スポーツシューズ市場で圧倒的なブランド力を持っていました。
しかし現在は、adidas、On、HOKA、lululemonなど、多くのブランドが存在感を高めています。
特にランニングやライフスタイル分野では、消費者の選択肢が増えています。
ナイキ自身も決算発表で、厳しい販売環境や競争を課題として認識しています。2026年6月の決算を受けたReuters報道でも、中国市場の弱さや競争、在庫などがナイキの立て直しを難しくしているとされています。
③ 新商品の勢いとイノベーションへの懸念
ナイキ株が下落している理由は、単純に景気が悪いからだけではありません。
「以前ほどナイキの商品に勢いがないのではないか」という市場の懸念もあります。
スポーツブランドでは、新しい人気商品を継続的に生み出せるかが非常に重要です。
ナイキは現在、商品ポートフォリオの見直しや新商品の強化などを進めていますが、投資家からすると「再成長が数字として確認できるまでには時間がかかる」という状況です。
④ NIKE Directの売上が落ちている
ナイキは店舗やオンラインなどのNIKE Directにも力を入れてきました。
しかし2026年5月期のNIKE Direct売上高は177億ドルで、前年比6%減、為替の影響を除くと8%減でした。
そのうちNIKE Brand Digitalは12%減、直営店は4%減となっています。
一方で卸売(Wholesale)は2026年5月期に前年比6%増となっています。
つまり、現在のナイキは「すべての販売チャネルが悪い」というわけではなく、Directやデジタル販売の弱さが目立っているという状況です。
⑤ 業績回復に時間がかかっている
現在のナイキは、Elliott Hill CEOのもとで事業の立て直しを進めています。
ただし、投資家が期待するほど早く業績が回復していません。
2026年5月期の売上高は464億ドルで、前年とほぼ同水準でした。一方、純利益は31億ドルで前年比3%減少しています。
さらに2026年6月の決算発表では、2027年会計年度の前半も売上減少が続く見通しが示されました。Reutersも、中国市場の低迷などを背景にナイキの再建が長期化する可能性を報じています。
ナイキの2026年業績はどうだった?
ここで最新の通期業績を確認してみましょう。
| 項目 | 2026年5月期 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 464億ドル | ほぼ横ばい |
| 純利益 | 31億ドル | 3%減 |
| EPS | 2.10ドル | 3%減 |
| 粗利益率 | 42.9% | 0.2ポイント改善 |
| NIKE Direct | 177億ドル | 6%減 |
| Converse | 12億ドル | 31%減 |
売上高そのものは大きく崩れていませんが、純利益は減少しています。
また、Converseの売上高も31%減少しており、ナイキブランド以外の部分にも課題があります。
ナイキ株の配当はどうなっている?
ナイキ株を考えるうえで、忘れてはいけないのが配当です。
ナイキは長年にわたって株主還元を続けてきた企業で、2026年8月には1株あたり0.41ドルの四半期配当を発表しました。
2026年10月1日に支払われる予定の配当も0.41ドルです。
現在の配当利回りは高くなっている
四半期配当0.41ドルが年間を通して続くと仮定すると、年間配当は1.64ドルになります。
2026年9月16日の株価35.78ドルを基準に単純計算すると、配当利回りは約4.6%です。
これは、ナイキの株価が下落したことで配当利回りが大きく上昇した結果です。
ただし、ここで注意したいのが「配当利回りが高い=安全な高配当株」ではないという点です。
ナイキの配当は減配リスクがある?
2026年5月期のEPSは2.10ドル、年間の配当は1株あたり1.63ドルでした。
単純に配当をEPSで割ると、配当性向は約78%になります。
つまり、現在の利益水準だけを見ると、利益のかなり大きな部分を配当に回していることになります。
もちろん、配当性向だけで減配を判断することはできません。
ナイキは2026年5月末時点で現金・現金同等物と短期投資を合計約90億ドル保有しており、2026年5月期には約24億ドルの配当を支払っています。
そのため、現時点で「すぐに減配する」と断定する材料はありません。
一方で、今後も利益が低迷し続けるのであれば、配当の増額ペースや配当維持の余力を確認する必要があります。
ナイキは連続増配株なの?
ナイキは長期的に株主還元を重視してきた企業です。
会社の投資家向け情報によると、ナイキは2004年以降、年間配当を増加させてきた実績があります。
2026年5月期の1株あたり年間配当も1.63ドルとなり、前年の1.57ドルから増加しています。
そのため、ナイキを配当目的で保有する投資家にとっては、この長期的な増配実績が魅力のひとつです。
ただし、過去に増配してきたからといって、将来も必ず増配するとは限りません。
ナイキ株は今が買い時なのか?
ここが最も気になるところでしょう。
ナイキ株については、現在の株価だけを見ると「かなり安くなった」と考えられる一方、業績回復が確認できていないという問題があります。
つまり、現在のNKEは単純な「割安株」というより、業績回復を期待して買うターンアラウンド株として見る必要があります。
ナイキ株を今買う場合に期待できること
- 株価が大きく下落している
- 配当利回りが約4.6%まで上昇している
- 世界的なブランド力が残っている
- 北米では売上が比較的堅調
- 新商品や事業改革による業績回復の余地がある
特に重要なのはブランド価値が完全に失われたわけではないという点です。
2026年5月期の北米売上高は前年比5%増となっており、中国などの不振地域を抱える一方で、北米では成長しています。
一方で、今すぐ買わずに様子を見る理由もある
- 中国市場の回復がまだ確認できない
- NIKE Directの売上が減少している
- 競合ブランドとの競争が激しい
- 業績回復まで時間がかかる可能性がある
- 配当性向が高くなっている
- 2027年会計年度前半も売上減少が見込まれている
特に重要なのは、「株価が下がった理由がなくなったわけではない」ということです。
株価が安くなったからといって、業績悪化の問題が解決したわけではありません。
ナイキ株を買うなら何を確認すればいい?
ナイキのようなターンアラウンド銘柄では、株価だけを見るのではなく、業績が本当に改善しているかを確認することが重要です。
① 中国の売上が回復するか
現在のナイキを見るうえで最も重要なポイントのひとつです。
中国の売上が減少から横ばい、そして成長へ転じることができれば、ナイキの業績回復を判断する材料になります。
② NIKE Directが底打ちするか
DirectやDigitalの売上がいつ回復するのかも重要です。
2026年5月期にはNIKE Directが6%減、NIKE Brand Digitalが12%減となっているため、この数字が改善するかを確認したいところです。
③ 新商品のヒットが出てくるか
ナイキはスポーツブランドなので、最終的には「消費者が欲しいと思う商品を作れるか」が非常に重要です。
決算数字だけでなく、ランニングシューズやバスケットボール、ライフスタイル商品などで新しいヒット商品が出てくるかにも注目したいところです。
④ 利益率が改善するか
売上高だけでなく、利益率も重要です。
2026年5月期の粗利益率は42.9%でした。
ただし、2026年第4四半期の粗利益率は49.2%まで上昇しているものの、これは関税の回収による約9ポイントの押し上げ効果が含まれています。
そのため、今後は一時的な要因を除いて利益率が改善していくかを見る必要があります。
ナイキ株の今後の株価を左右するポイント
今後のナイキ株を見るうえでは、以下のポイントが重要です。
- 中国事業の回復
- 北米の成長継続
- NIKE Directの回復
- 新商品のヒット
- 競合ブランドへの対抗
- 利益率の改善
- 在庫の適正化
- 配当を維持・増配できる利益水準への回復
また、ナイキは2026年10月1日に2027年会計年度第1四半期の決算を発表する予定です。
今後の決算では、単純な売上高だけでなく、特に中国とNIKE Directの動きを確認したいところです。
ナイキはS&P100から外れる予定
現在のナイキを語るうえで、もうひとつ注目されているのがS&P100からの除外です。
S&P Dow Jones Indicesは、2026年9月21日の取引開始前にナイキをS&P100から外すと発表しています。
ナイキがS&P100から外れるのは約18年ぶりとなります。
ただし、これはナイキが上場廃止になるという意味ではありません。
ナイキ株は引き続きNYSEで取引され、S&P500にも残ります。
S&P100からの除外そのものよりも、そこに至った背景である株価下落や企業価値の低下をどう見るかが重要です。
ナイキ株は「高配当株」として買うべき?
配当目的でナイキ株を見る場合、現在の約4.6%という水準は以前より魅力的に見えます。
ただし、ナイキは典型的な「業績が安定した高配当株」とは少し違います。
現在は業績回復の途中にあり、利益が低迷した状態で配当利回りだけが上昇している面があります。
そのため、
「4%台の配当があるから買う」
だけではなく、
「今後、利益が回復して配当を支えられるか」
まで確認することが重要です。
ナイキ株は今買い時?まとめ
2026年9月時点のナイキは、かなり判断が難しい銘柄になっています。
株価は52週高値の76.97ドルから大きく下落し、9月16日には35.78ドルまで下がっています。
一方で、株価下落によって配当利回りは約4.6%まで上昇しています。
ナイキには世界的なブランド力があり、北米事業は成長しています。さらに現在の経営陣は事業再建に取り組んでいます。
しかし、中国市場の低迷、NIKE Directの減収、競争激化、新商品への懸念など、解決すべき問題もまだ残っています。
そのため、ナイキ株を見るときは「株価が安くなったから買う」のではなく、「業績が底打ちして回復する可能性に対して現在の株価がどうなのか」という視点が重要です。
特に今後は、2026年10月に予定されている第1四半期決算で、中国売上、NIKE Direct、利益率、新商品の状況などがどう変化しているのかを確認したいところです。
ナイキを長期保有したい人にとっては、現在の株価と4%台の配当利回りが魅力になる一方、業績回復がまだ確認できていないことは大きなリスクです。
「高配当株としてのナイキ」だけではなく、「ブランド再建による業績回復を狙う米国株」として見る。
これが現在のNKEを考えるうえで重要なポイントだと思います。
ナイキ株についてよくある質問
ナイキ株はなぜ下がっている?
主な要因として、中国市場の低迷、競争激化、NIKE Directの減収、新商品の勢いへの懸念、業績回復の遅れなどが挙げられます。
ナイキ株の配当利回りは?
2026年8月に発表された四半期配当は1株0.41ドルです。年間1.64ドルと仮定すると、2026年9月16日の株価35.78ドルに対して単純計算で約4.6%になります。
ナイキは減配する可能性がある?
現時点で減配が決まっているわけではありません。ただし、2026年5月期のEPS2.10ドルに対して年間配当は1.63ドルとなっており、単純計算の配当性向は約78%です。今後の利益動向には注意が必要です。
ナイキ株は今すぐ買うべき?
株価が大きく下落している一方、業績回復がまだ確認できていないため、株価だけで判断するのは難しい状況です。中国売上、NIKE Direct、利益率、新商品などの改善を確認しながら投資判断を考える必要があります。
※株価・業績・配当は2026年9月18日時点で確認できる情報を基準にしています。特にナイキは2026年10月1日に次回決算を予定しているため、今後の内容によって見方が変わる可能性があります



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